2025/11/21
当院女性クリニックラポールでは、漢方薬での処方をフルに活用しています。
私たちは、漢方薬のよいところも悪いところも良く知っています。
それは漢方とはいったい何でしょうか?
漢方内科(かんぽうないか)は、漢方医学(東洋医学)を用いて体質や症状を総合的に診断・治療する診療科です。日本の医療制度では保険診療として漢方薬(医療用エキス製剤)を扱う医師が多く、西洋医学と並行して治療を行うことが一般的です。
当院では漢方専門医が2人いるため、より強い治療効果が望めます。
漢方内科の特徴
1. 病名よりも“人”を診る
漢方では、同じ病名でも患者の体質・症状・生活環境によって処方が変わります。
診断には以下の「四診」を用います:
望診:顔色・舌の状態(舌診)・体型などを観察
聞診:声や呼吸の様子、体臭などを観察
問診:症状や生活習慣、食欲、睡眠、ストレスなどを詳しく聞く
切診:脈診、お腹に触れる腹診など
2. 体質改善を重視
漢方は、病気の根本原因(気・血・水の乱れ、陰陽のバランスなど)を整えることで 自然治癒力を高めることを目的とします。
よく扱う症状・疾患
漢方内科は幅広い症状に対応します。
特に下記の症状がある方にはおすすめです。
〇生活習慣・慢性症状
- 冷え症
- 頭痛
- むくみ
- 便秘・下痢
- 体力低下
- 不眠
- 自律神経失調症
〇女性特有の症状
- 月経痛・月経不順
- 更年期障害
- 産前産後トラブル
- PMS
〇アレルギー・呼吸器疾患
- 喘息
- アトピー性皮膚炎
- 花粉症
- 慢性咳嗽
〇心身症・ストレス関連
- 不安・イライラ
- のどのつかえ(梅核気)
- 過敏性腸症候群
漢方薬の種類
多くは複数の生薬を組み合わせた処方(方剤)で構成されています。
日本でよく使われる代表例:
葛根湯(かっこんとう):風邪の初期、肩こり
小青竜湯(しょうせいりゅうとう):アレルギー性鼻炎、咳
六君子湯(りっくんしとう):胃腸虚弱、食欲不振
加味逍遙散(かみしょうようさん):更年期障害、PMS、不安・イライラ
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):肥満、便秘
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):月経異常、不妊症
温経湯(うんけいとう):不妊症、更年期障害、主婦湿疹
西洋医学との違い
| 漢方医学 | 西洋医学 |
|---|---|
| 体質・バランスを重視 | 病気・異常を特定して治療 |
| 全身を総合的にみる | 病変部位にフォーカス |
| 慢性症状に強い | 急性症状・外科的治療に強い |
| 副作用は少ないが体質に合わないと効きにくい | 効果が強力だが副作用に注意 |
多くの医療機関では両者を併用して、より効果的な治療を目指します。当院でも同様に対応します。たとえば、月経痛にピルと漢方薬、HRT(更年期ホルモン補充療法)と漢方薬、高血圧の方に降圧剤と漢方薬などです。
合わせる目的は、①治療効果の相乗効果を狙いQOL(Quality of Life)をあげる、②西洋薬の副作用をとる、です。目的ではありませんが、両者を合わせることで思わぬところで体調に良い変化が生じることもあります。
診療の流れ
- 問診(生活習慣・体質チェック)
- 舌診、脈診、腹診など
- 漢方薬処方
- 食事・生活習慣のアドバイス
- 効果の確認・処方調整(当初は2~4週間ごとの来院)
どんな人におすすめ?
- 西洋薬で副作用が出やすい
- いろいろな科を回ったが、どこにも異常がないといわれた。でも困っている。
- なんとなく不調が続く
- 薬漬けになりたくない
- 冷えやむくみなど体質に悩んでいる
- 妊娠中や授乳中で薬が制限される
- 自律神経系の不調を改善したい